美術評論家も評価した昌子のデッサン
- kujakuhanamasakobl
- 2024年3月18日
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昌子のデッサンに初めて注目したのは、美術評論家の森田文雄であった。森田は『芸術グラフ』1983年8月号において、「描き貯められたおびただしいスケッチの山」と評した。森田が熊本の昌子のアトリエを訪れて「おびただしいスケッチの山」を目にしたような書きかたである。昌子に注目した美術評論家の多くは、昌子のアトリエをたびたび訪問していたようである。昌子の絵の一部に鋭い写実性が垣間見えるが、それはスケッチ(デッサン)の圧倒的な量に裏打ちされたものだろう。
この頃から、「昌子のデッサンには値が付く」と言われるようになる。
このページのコメントで森田は昌子の作品について、「現代感覚と精進を極める日本絵画の伝統を調和させ、屹立させたともいうべき作風」と称賛した(同誌同号)。
それから4年後、佃 堅輔は、「孔雀のデッサンは、夢想の世界をかたちづくる覚醒時の確かな技法を示す」と称賛した(『芸術公論』第4巻第3号、1987年)。この表現から、佃も昌子の熊本のアトリエを訪ねていることがわかる(訪問でもしなければ、東京の美術評論家が熊本在住画家のデッサンを目にすることはないだろう)。美術雑誌としてはきわめて異例なことだが、同誌同号に昌子のデッサンが3枚掲載されている(孔雀や花の油絵とともに)。佃は、昌子の画面構成力や鮮やかな色彩感覚の背後に、「たしかな技法」を感じ取っていたということである。



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