03『毎日グラフ』第38巻23号(通巻1862号)、1985年6月16日号、秋沢国男 解説
- kujakuhanamasakobl
- 2024年3月10日
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更新日:2024年4月11日

初期の昌子の代表作「鳥界(待春)」。後ろは阿蘇山である。ということは、鳥(クジャク)が立っているのは阿蘇の外輪山だろう。もちろん現実にはありえない光景で、秋沢国男はこれを「ダブルイメージ」と表現している。抽象画ではない写実ふうを装いながらも、幻想的な世界を現出させている。


(解説のテキストデータ)
秋沢国男解説「現代作家20選――孔雀とイマージュ―― 金子昌子」
ダブルイメージ 解説 秋沢国男(美術評論家)
山焼きの炎があがる山の斜面を背景に、二羽の孔雀が描かれている。 明るいピンク色を帯びた炎と、前景の山なみや孔雀に使われた深々とした紺や暗緑色などとの対比が鮮やかである。色数はおさえられているが、それぞれの色彩が持っている味わいを大切にして、美しい画面を形成している。
金子さんは、このところ孔雀をテーマにした制作を続けている。特に今年の作品では、これまで孔雀のみを画面に描いていたものとは違って、風景との組み合わせを試みており、金子さんの意欲作と思える。孔雀の持つ美しさを簡潔でシャープな表現によって描き出した上に、単純化された自然の風景と組み合わせることによって、そこに洗練された調和を生み出している。孔雀の気高さに自然の雄大な様相が呼応して、そこに自然への讃歌ともいうべき詩的な味わいを生み出しているのが興味深い。
(文中のゴシック体は金子昌子美術館運営委員会による)
【誌面構成上の昌子作品の位置づけ】
『毎日グラフ』は美術雑誌ではない、総合的なグラフ誌である。その中に「美術と生活」という連載コーナーがあり、そこで「今日の具象絵画 秀作5選」が見開きで紹介されている。
昌子の作品はその左ページのさらに左端に、「現代作家20選」として連載される中の1人として紹介されている。
見開きの右ページ。

見開きの左ページ。

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