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第3期ー12 百合

  • kujakuhanamasakobl
  • 2024年4月9日
  • 読了時間: 1分

更新日:2月18日


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1986年、162cm×97cm、油彩

 『芸術公論』第4巻第3号(通巻19号、1987年5月号)に掲載


 「繊細優美」とはまさにこの作品のためにある言葉かと思うほどである。一方であれほど大胆な構図・色彩をキャンヴァスにぶつげる昌子の、もう一方の隠れた姿である。

 昌子の彩色デッサンに花の絵が多いことは「昌子のデッサン」で紹介したとおりだが、その「美しい彩色デッサンがそのまま作品化されると、どうなるのだろう」という期待を具現化したした作品である。美術評論家たちが称賛した昌子のデッサン力が実を結んだ名作である。

 この作品の姉妹編が「熊本大学アートギャラリー事業」に寄贈されている。ただしそちらは128cm×79cmの中型であるのに対して、こちらは大型である。昌子の描く「花」はアンシンメトリー(非対称)など何らかの不安定さが込められていることが多い。無秩序であったり、倒れてしまいそうであったり。それは、静物画でありつつも一瞬の動態を切り取ったものであることを表現しているようだ。「花」はいつかは散る。そのはかなさまで、表現されているのだ。

 
 
 

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